容積率は住宅を建築する際の知識として、とても重要です。容積率とは、土地の面積に対する建物の延べ床面積の割合のことをいいます。
容積率は、不動産広告などでよく耳にする言葉ですが、詳しくはよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、容積率とはどんなものか、計算方法、容積率の緩和条件について解説します。
容積率を理解することにより、どんな規模の住宅を建築できるかが分かり、家づくりの参考になるかと思います。
容積率とは?
冒頭でもお伝えした通り、容積率とは、土地の面積に対する建物の延べ床面積の割合のことです。
延べ床面積とは、建物の各階の面積の合計のことです。例えば3階建ての家がある場合は、1〜3階すべての面積が延べ床面積です。
容積率は次の式で表します。
容積率=建物の延べ床面積÷土地面積×100 (%)
土地の面積に対する建物の面積の割合を建ぺい率といいます。建ぺい率についてはこちらをご覧下さい。
用途地域によって変わる容積率
用途地域とは、この地域ではこんな用途で建物を建てて下さいという規制がある地域のことをいいます。
用途地域は13種類ありますが、大きく分けると住居系、商業系、工業系の3つに分類されます。
用途地域が住居系の場合
用途地域が住居系の場合の容積率は
容積率=前面道路の幅×0.4(%)
で表します。
例えば、前面道路の幅員が4mの場合、4×0.4で容積率は160%になります。
用途地域が住居系以外の場合
用途地域が住居系以外の場合(商業系、工業系)は
容積率=前面道路の幅×0.6(%)
で表します。
例えば、前面道路の幅員が5mの場合、5×0.6で容積率は300%になります。
前面道路の幅員による容積率と指定容積率が異なる場合もあります。その場合は、より厳しいほう、すなわち容積率の値が小さい方が適用されます。
また、角地は接する道路が2つありますが、広い道路のほうを基準とします。
容積率が緩和される場合とは?
これまで容積率とは何か、容積率はどのように決められるかを解説してきました。
容積率は一定の場合、緩和される場合があります。
特定道路から一定距離にある土地
幅員15m以上の道路(特定道路)から一定範囲内の土地については、容積率が緩和されます。
前面道路の幅が6m以上12m未満で、特定道路までが70m以内の土地に適用されます。
容積率=(前面道路幅員+※加算値)×0.4×100(%)
※加算値=(12-前面道路幅員)×{(70-特定道路までの距離)÷70}
例えば、
特定道路から35m、前面道路幅員が6mの敷地の場合、
加算値は「(12-6)×{(70-35)÷70}=3」となります。
つまり「(6+3)×0.4×100=360」となり、
容積率は特例措置によって360%になります。
小さな物置
物置については、このような規定があります。
国住指第4544号
外部から荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、建築基準法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物に該当しないものとする。
中に入らなくても荷物の出し入れができる小さい物置は建築物に該当しないため、容積率を計算する延べ床面積に算入しないということです。
カーポート
カーポートもれっきとした建築物です。建築物の定義として
土地に定着する工作物のうち、屋根および柱もしくは壁を有するもの
とされています。よって、一般的なカーポートは屋根と柱があるため、建築物となります。
ただ、カーポートは延床面積の5分の1を限度として容積率の計算から除外してもよいという規定があります。
例えば、建物の延べ床面積が70㎡でカーポートが縦15㎡(縦5m、横3m)の場合、
建築物の延べ床面積は 70㎡+15㎡=85㎡
述べ床面積の1/5は 85㎡×1/5=17㎡
よって、17㎡までは容積率に算入しなくてもよいということになります。
地下室
地下室がある場合、次の条件を満たすと、床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外されます。
- 地階であること
- 天井が地盤面から高さ1m以下であること
- 住宅の用途に供する部分であること
まとめ
●容積率とは?
土地の面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。
●容積率はどのようにして決められるか?
容積率は用途地域により指定される。また、前面道路の幅にも影響される。
●容積率の緩和措置
①特定道路から一定距離にある土地
②外部から荷物の出し入れができる小さい物置
③カーポート
延床面積の5分の1を限度として容積率の計算から除外してもよい。
➃地下室
一定の条件を満たすと、床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外してもよい。
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