家づくりの際、土地探しはとても重要です。なぜなら、土地の形状やエリアによっては建築が制限されたり、そもそも家が建てられない土地もあるからです。
不動産は高額なため、最初で最後の買い物になるという人も多いでしょう。土地購入の注意点を把握しておくことにより、スムーズでトラブルない家づくりができるようになりますので、最後までご覧下さい。
こんな土地は要注意
これから紹介する土地は、すべて絶対に購入しない方がいいというわけではありません。
なぜなら、ある人にとっては購入してもよい土地かもしれませんし、ある人にとっては購入すべきではない土地かもしれないからです。あなたのライフスタイルに合わせて購入を検討してみて下さい。
境界が不明
土地と土地の境い目には通常、境界票が埋められています。ところが、この境界票がない土地があります。このような土地は境界紛争に発展する可能性があるため注意が必要です。境界が分からない場合は、売主に境界を確定してもらってから契約にすすむようにしましょう。
境界確定は、土地家屋調査士に依頼することになります。境界確定作業を始めるにあたって、隣りの住民が立ち会いを拒否するなど非協力的な場合は、境界確定が難航するおそれがあるため購入しないほうがいいかもしれません。
擁壁のある土地
擁壁とは、高低差のある土地で斜面が崩落しないように設けられたブロックやコンクリートの構造体のことです。擁壁のある土地は安く購入することができる反面、さまざまなトラブルもあります。
擁壁は一定の場合、許可や確認申請が必要となります。しかし、法律が施行される前に造られた擁壁や許可、確認申請をしていない擁壁があります。このような擁壁は安全性に問題があります。もしも、倒壊し他人にケガを負わせた場合は、その土地所有者の責任になります。また、擁壁の是正工事等が実施された場合、土地所有者が数百万円もの費用を負担する場合もあります。
行政機関の窓口で許可や確認申請が出ているか確認したり、不動産会社に調査してもらったりした上で購入を検討しましょう。
災害の危険がある土地
昨今は地震や台風、ゲリラ豪雨など各地で災害のニュースを目にするようになりました。災害の危険性が高い地域の土地の購入は、できるだけ避けたいですね。
そこで、災害の危険がある土地かどうか確認する方法として、ハザードマップというものがあります。ネット検索で「ハザードマップ 地域名」などで入力すると確認することができます。
もちろん、ハザードマップ上では安全であっても、想定外の被害を予測し、自主的に安全確保に努めることは大事ですね。
セットバックありの土地
中古住宅を探していると、不動産の広告等に「セットバックあり」の表示がある場合があります。
建築基準法の規定により、幅4m以上の道路に2m以上接していない土地には家を建てることができません。これを接道義務といいます。
ところが、この接道義務の規定ができる前に建てられた家が実在します。
この場合、家の建て替えをする時は、道路の中心線から一定の距離、後退させなければならないことになっています。これをセットバックといいます。
セットバックをした場合、自分の土地の一部が道路とみなされ、自由に使用ができなくなります。この点を留意して購入を検討しましょう。
旗竿地
竿に旗をつけたような形のため、旗竿地(路地状敷地)と呼ばれる土地があります。旗竿地(路地状敷地)もメリットデメリットがあるため、場合によっては購入には注意が必要です。
旗竿地(路地状敷地)についてはこちらをご覧下さい。
都市計画道路予定地
土地のパンフレットなどに「都市計画道路予定地~」などと書かれている場合があります。
都市計画道路予定地とは、都市計画法に基づき道路の幅を広くしたり、新しく道路を作ったりする土地のことです。この都市計画道路予定地は計画が決定されると、建築が制限されてしまいます。原則、2階以下で高さ10m以下、地下室のない建物しか建てることができません。
また、事業が決定となると、補償金はもらえるにしても引越しを余儀なくされてしまいます。
しかし、その分相場より安く土地を購入することができます。また、補償金をもらうため、あえて購入するという人もいます。
建築不可または再建築不可
都市計画法における都市計画区域には市街化区域と市街化調整区域があります。
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域とされています。主に農業や林業のための区域で、原則として家を建てることができません。
また、現在家が建っていても、今後建て替えができないというケースもあります。「再建築不可物件」と呼ばれるものです。
再建築不可物件についてはこちらをご覧下さい。
建築協定がある土地
建築協定という言葉を聞いたことがありますか?建築協定とは、ある特定の街において、その地域の特性等を考慮し、良好な住環境にするために建築基準法の規定よりも厳しい条件を定めたり、建築基準法にない規制を設けたりする「決まりごと」のことをいいます。
その例として、
- 建築物の高さの制限
- 木造住宅に限定
- 外壁の色を統一
- 境界から建物までの距離を一定
などです。
こういった建築協定は街並みは大変すばらしいのですが、違う地域から引越ししてきて、突然その協定に従わなければならないとなると躊躇してしまう人もいるかもしれません。このような制限があると不具合があるようであれば購入はしないほうがいいかもしれませんね。
土地の地目が宅地でない
法務局の不動産登記簿には、それぞれ地目が記載されています。
地目が宅地であれば問題ないのですが、宅地以外の場合は住宅ロ一ンを組めない可能性があります。また、金融機関から地目変更登記をするように指示があるでしょう。
また、地目が田や畑の場合は家を建てる前に農地転用許可を得なければなりません。
近所に嫌悪施設がある
土地購入前に、周辺の環境も確認すべきです。土地を購入し、家を建ててしまうと、簡単に引越しはできないからです。
具体的には、悪臭、騒音、大気汚染を起こす施設はないか。墓地、火葬場がないかなどを確認します。
また、夜勤が多い人は近くに小学校、幼稚園や保育園がないかもチェックしておくといいですね。
公簿面積と実測面積が異なる土地
土地の売買契約は、公簿売買と実測売買があります。
不動産登記簿に記載された面積をもとに売買するのが公簿売買で、実際に測量をして正確な面積を求めたうえで売買するのが実測売買です。
登記簿は正確な情報が記載されていると思われがちですが、実は必ずしもそうではありません。誤った面積で登記されている場合もあるのです。測量技術が未発達の時代に登記したことが原因であることが多いようです。
では、すべて実測売買の方が良いかというとそうとも限りません。直近の、信頼できる図面(地積測量図など)がある場合は、公簿売買が適しています。なぜなら、公簿売買は測量をしないため、取引がスムーズかつスピーディに行なわれるからです。また、測量費用もかかりません。
一方、信頼できる図面がない場合は、実測売買の方がよいといえます。しかし、測量費用がかかることや契約までの日数がかかってしまうことは避けられません。
まとめ
これまで、土地の購入で注意すべきことを解説してきました。
- 境界が不明
- 災害の危険がある土地
- セットバックありの土地
- 都市計画道路予定地
- 家が建てられない、または再建築できない
- 建築協定がある土地
- 地目が宅地でない
- 近所に嫌悪施設がある
- 公簿面積と実測面積が異なる土地
これらは不動産会社が調査すべきことです。しかし、購入者も知識を持つことで、広告やパンフレットを見た段階で購入すべきかどうか判断することができ、よりスムーズな土地探しができるのではないでしょうか。
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